大人になって仕事をするようになると、職場の人とのコミュニケーションが上手くいかなかったり、細かいミスを連発する場面が周りの人よりに多く感じられ、どうすれば良いか途方に暮れているということはありませんか?
おそらく、このページに訪れたと言うことは、自分が発達障害である疑いを持ち始めたものの、医師に診断書を貰うべきかを迷っているのではないでしょうか?
そこで今回は、大人になってから自分は発達障害かもしれないと思った人向けに、診断書を貰うメリット・デメリットと書いてもらうための方法について詳しく解説していきたいと思います。
また、発達障害グレーゾーンと診断を受けた方には、診断書を貰って障害者手帳を取得する方法についても解説していきますので、是非最後までご覧ください。
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【成功者に学ぶ】アスペルガー症候群やADHDの有名人
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【発達障害とは何か】わかりやすく解説

発達障害とは脳の未発達や神経伝達が上手くいかないことによって起こる障害のことでして、よく知られているADHD(注意欠陥多動性障害)以外にもASD(アスペルガー症候群)やLD(学習障害)と呼ばれる種類の発達障害が存在します。
最近では仕事や人間関係で息苦しさを感じて、診断を受けてみると、実は発達障害だったと発覚するケースが増えてきており、大人になってから障害に気が付く「大人の発達障害」の人が年々増え続けています。
また、確実に発達障害の自覚症状があるものの「誰にでもあることですよ」と軽く扱われてしまったり、診断を受けても完全に発達障害の条件を満たしていないために診断書をもらえない「発達障害グレーゾーン」の人も増えている傾向にあります。
発達障害の種類
- ADHD (注意欠陥多動性障害)
- ASD (自閉スペクトラム症)
- LD (学習障害)
ADHD (注意欠陥多動性障害)

ADHDは日本語読みで「注意欠陥多動性障害 (ちゅういけっかんたどうせいしょうがい)」と読みまして、読んで字の如く長時間の集中が難しく、注意が他の事に移ってしまったり、じっとしていられないという特徴がある発達障害です。
ADHDの特徴がある場合、思ったことを直ぐに口に出してしまい人間関係が悪化させてしまったり、注意がそれやすいために手順通りに物事を進めることが苦手など、社会生活を送る上で躓く場面が多くあります。
ですが、ADHDの症状は生活環境の見直しや薬物治療によって、ある程度は抑えることができます。
ちなみにADHDであっても「眞鍋かをり」さんや「深瀬智」さんなど社会的に成功している有名人もいますので、生き方の参考にするのも良いかもしれません。
ADHDの特徴
- 音に非常に敏感
- 思ったことを直ぐに口に出してしまう
- 物忘れが多い
- 遅刻が多い
- 片付けが苦手
ASD (自閉スペクトラム症)

ASDは日本語読みで「自閉スペクトラム症」と読みまして、主に他者とのコミュニケーションを取ることが苦手であったり、強いこだわりを持つという障害の特徴があります。
ASDの特徴を持ち合わせている場合、自分の考えを言葉にしたり人の気持ちを想像することが苦手なため、良好な人間関係や築いたり、深い話ができる友人を作ることが難しく、社会的に孤立を深めていく可能性が考えられます。
また、ASDはスペクトラム(スペクトル)と言葉にある通り、症状は人によってグラデーションがあり、障害の特徴を一部だけを持ち合わせている場合もあります。
ちなみにASDであっても「米津玄師」さんや「吉濱ツトム」など社会的に成功している有名人もいますので、生き方の参考にするのも良いかもしれません。
ASDの特徴
- 考えを言葉にすることが苦手
- 一つのことに興味が集中する
- こだわりが強い
- 日常生活がルーティーン化しやすく変化することが苦手
- 人の気持ちを想像したり場の空気を読むのが苦手
発達障害の診断を受けるべきか

発達障害の診断を受けることによって、自分の特性を客観的に知ることができるだけでなく、症状の度合いによっては障害者手帳の取得も可能になってきます。
障害者枠での就労や福祉サービスを受けることを考えている人にとっては、診断を受けることは必須であり、それ以外の理由で診断を受けようか迷っている方にとっては、あまりメリットはありません。
ただし、自分に障害があるかの検査をして、特性を知った上で一般就労を続けたい方にとっては診断を受ける一定のメリットがあると言えるでしょう。
診断を受けるメリット
- 自分の特性を客観的に知ることができる
- 障害者手帳をもらえる可能性が出てくる
- 障害者枠で働くことができる可能性が出てくる
- 福祉サービスを受けられる可能性が出てくる
診断を受けるデメリット
- 診断にお金がかかる
- 診断結果が出るまで時間がかかる
- 医師によって診断基準が異なる場合がある
発達障害の診断方法

発達障害の診断には専門の心理検査が用意されておりまして、まずは診察で現在の状況や過去の社会的な適応状況などを聞いた後に検査に入ることが一般的です。
一般的に発達障害の検査をする場合には、いくつかの代表的な検査方法がありまして、ADHDが疑われる場合には「MSPA」、ASDが疑われる場合には「ADOS-2」などの検査方法が使われます。
初めて発達障害の検査を受ける場合、自分の特性を多面的に見るためにも、検査範囲を広げて「MSPA」「ADOS-2」や、その他の検査も受けるてみることをオススメします。
発達障害の心理検査
- WAIS-III
- MSPA
- ADOS-2
- Vineland-II
WAIS-III
検査時間2時間ほどで、成人用の知能検査を行い、言語や記憶力などの能力を測定します。
能力の偏りや検査への取り組みなどから認知特性を評価する検査です。
検査結果から3つのIQと4つの群指数を測定することができ、特性を多面的に把握したり解釈することが可能になります。
- 全検査IQ (全体的な知的レベル)
- 言語性IQ (言語理解、作動記憶)
- 動作性IQ (知覚統合、処理速度)
4つの郡指数
| 言語理解 (VC) | 言葉で考えて説明する力のことを示しており、語彙力や言語による理解力、順序立てて話す力などを表します。 |
|---|---|
| 知覚統合 (PO) | 図や絵などを目で見て推理したり、関連づけてまとめたりする力を示します。全体を把握する力や言葉にたよらない推論する力などを表します。 |
| 作動記憶 (WM) | 短い時間で頭の中に情報を保持して、同時に処理する力を示します。会話や読み書き、計算などの基礎となる力を表します。 |
| 処理速度 (PS) | 情報を素早く正確に処理する力を示します。目で見た情報に沿って身体を動かす力や注意力などの力を表します。 |
MSPA
検査時間90分ほどで、発達障害の特性の程度と支援サービスが必要かについての評価を行います。
また、コミュニケーション能力や集団に適応する能力、こだわり、感覚、不注意、多動・衝動性など多面的に評価を行います。
ADOS-2
検査時間1時間ほどで、ASD(自閉症スペクトラム症)に特化した検査を行います。
ASDの特性について、対人交流、コミュニケーション、想像力などから評価を行います。
Vineland-II
ASD(自閉症スペクトラム症)や知的発達症の人の生活への適応状況や生活スキルを評価する検査です。
障害特性によって生じる困難や、社会適応の程度について把握することができます。
発達障害グレーゾーンの人でも診断書をもらう方法

検査をしても、発達障害特有の結果があまり見られなかったり、過去のエピソードなどを医師にしっかりと伝えきれていない場合、発達障害とは認定を受けずに診断書を書いてもらえない「発達障害グレーゾーン」と認定を受けてしまう場合があります。
医師によっては、診断結果と過去のエピソードなどを元に、発達障害の診断をしてくれる場合があります。
ですので、発達障害グレーゾーンの人は、自分の過去のエピソードや診断書が必要な理由などを具体的に医師に説明して、発達障害と診断してもらう必要があるのです。
困っている内容を明確に説明する
まずは、医師の診断を受ける前に、過去や現在の自分が発達障害の傾向によって困っていたエピソードについて具体的に説明する必要があります。
例えば、幼少期の頃の家族や友達との関わりのエピソードや、学生時代の学習に取り組む際のエピソードや、社会人になってからの仕事上のエピソードについて、どうしても上手くいかなかった点や、「自分はこういう風な特性を有している可能性がある」など、できるだけ具体的に自分自身のことを説明するようにしましょう。
診断書が必要な理由を明確に説明する
次に診断書が何故必要なのかについて具体的に説明するようにしましょう。
診断書が必要な場合、それを何使うのか、診断してもらうことによって自分はどうなりたいかについて分かりやすく説明しましょう。
例えば、「障害者手帳の申請をしたい」「障害者枠で働きたい」など将来に対する具体的なビジョンがあると、診断書を書いてもらいやすくなります。
通うクリニックを変える
もしも医師との関係性が悪化していたり、発達障害について専門性が低いクリニックに通っている場合は、少々遠い場所であっても評判が良いクリニックに通うことをオススメします。
そうしない場合、ずっと発達障害と診断されない中、精神的な苦痛に晒されることになるので、医師の診断方法に違和感を覚えた際はできるだけ早くクリニックを変更するようにしましょう。
ちなみに、診断書を書いてもらうクリニックとは別で、発達障害についての個人の能力開発についての相談をしたい場合などは「吉濱ツトム」先生が教える実践的な対処法が評判も良く、親身になって対応してくれるのでオススメです。
診断書を貰ったらやるべきこと

医師に診断書を書いてもらった後にやるべきことについて解説していきます。
診断書があると、今後様々な福祉サービスが利用できる可能性もあるので是非活用していきましょう。
また、人によって必要な場合と、そうでない場合とで分かれることもあるので、自分の現在の状況やこれからどのような生活を送りたいかを真剣に考えた上で決めることをオススメします。
障害者手帳の申請
まず、精神障害者福祉手帳の申請には医師の診断書が必ず必要になります。
今後、障害者枠で働くことやA型作業所で働くことを考えている方にとっては障害者手帳の取得は必須になります。
また、障害者手帳を取得することによって様々な交通機関や娯楽・レジャー施設での料金割引を受けたり、税金控除などの制度を受けることも可能になります。
就労移行支援事業所に通う
これから就労に向けて知識や能力を身につけたいという人や、まだ人と接しながらの就労に自信がないという人は自立支援サービスの一つである「就労移行支援」を受けることをオススメします。
期間は最大2年間と定められていますが、専門の知識を身につけることができる事業所もあるので、就労に向けて早めに準備することができます。
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A型作業所で働く
一般企業の障害者枠で働くことが困難な方や、比較的緩めな人間関係の中で働きたいと考えている方はA型作業所で働くことをオススメします。
また、A型作業所は就労移行支援のサービスを行なっている事業所が多いため、自立支援のサービスを受けてからA型作業所に移るというのも一つのやり方です。
基本的にA型作業所は一般で就労される場合の職種とあまり変わりませんが、就労時間、給料、求められるスキルの度合いにおいて大きな違いがあります。
障害者雇用で働く
障害者雇用で働く場合は、必ず障害者の採用実績が豊富にあり、社内で指導ノウハウが確立されている企業に就職されるのが良いでしょう。
例えば、大企業の障害者専用の子会社として存在する「特例子会社」などであれば、障害者に対する理解や配慮のある指導を受けやすく、収入面においても安定しているのでオススメです。
まとめ
今回は大人になってから発達障害の診断書を書いてもらうべきかについて詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
どうしても一般就労が難しい人は、診断書を書いてもらう必要がありますので、グレーゾーンと診断されてしまってもクリニックを変えてみるなどして、根気強く診断書の取得を目指すことをオススメします。
発達障害は、目には見えない障害であり、人によって症状の度合いに違いがあるため、専門の医師でなければ判断が別れてしまう難しい障害ですので、理解されにくいということも頭の片隅におきながら行動するようにしましょう。


